今回のご依頼内容
- お住まい:土岐市
- メーカー・機種:ASUS Prime B560M-K搭載の自作パソコン
- 症状:朝一番の電源投入のみ一回で電源が入らない。
- 対応内容:電源ユニットの電解コンデンサの劣化を確認、安全面を考慮して交換。
症状の詳細
※2022年頃の事例です。
1月中旬になり冷え込んだ朝一番のみ、一回で電源が入らない事が多く、日中や部屋を温めた後は電源が入る。一度電源が入れば問題なく使用出来る。
2週間前から症状が出ていたそうですが、年末進行のため騙し騙し使用していたとのこと。朝一起動できない事は増えてきた為、修理依頼となったようです。
調査・修理内容
「冷え込んだ朝の一回目だけ入らない」「部屋が暖まれば入る」という温度に依存した症状は、まず電源ユニットの一次側電解コンデンサを疑います。電解コンデンサは低温になると内部の電解液の粘度が上がり、静電容量が低下すると同時にESR(等価直列抵抗)が増大します。起動の瞬間に必要な突入電流を賄えず、電源シーケンスが立ち上がりきらない状態です。日中や暖房の効いた部屋で正常に起動するのは、温度が戻って容量とESRが規定内に近づくためです。
また、一度起動してしまえば終日問題なく使用できていた点から、マザーボードやメモリ、ストレージ側の恒常的な不良ではないと判断しました。これらの不良であれば、温度に関係なく症状が現れます。
実際に基板からコンデンサを取り外し、セメント抵抗で電荷を抜いてからLCRメーターで測定したところ、200V 680μFの規格に対して469μFと、約31%低い値を示しました。想定どおりコンデンサの劣化と確認できました。
特殊な工業用電源やニプロン製ではありませんでしたので、コンデンサ単体の交換ではなくAssy(電源ユニットごと)交換としました。汎用のATX電源は交換部品の入手性が良く、経年劣化した他のコンデンサも同時に更新できるため、再発リスクを抑えられます。
なお、asideでは取り外した劣化部品はお客様へお返ししています。今回の電源ユニットも返却済みのため、劣化したコンデンサの写真は掲載しておりません。
今回使用した工具
今回使用したのはLCRメーターDE-5000です。
外した液体コンデンサをテストリードに挟み検査します。電荷が残った状態で測定するとLCRメーターが故障する原因になりますのでasideではセメント抵抗で電荷を抜くようにしています。
掛かった費用
※料金は現在の価格に更新しています。
| 項目 | 部品代金 | 工賃・その他 |
|---|---|---|
| 出張費 | - | 3,300円 |
| 電源ユニット代金 | 13,200円 | - |
| 電源ユニット交換費用 | - | 8,800円 |
| 合計 | 13,200円 | 12,100円 |
| 総額 | 25,300円 | |
まとめ
毎年、冬になると依頼が多くなる傾向にある電源ユニット交換。特殊な電源ユニット以外は交換を推奨します。ここが悪いとパソコン全てに影響を及ぼしますので、できる限りAssy交換をお勧めします。また、BTO製品や自作パソコンに関しては、予算が許す限り良い電源ユニットを搭載することをお勧めします。
今回のお客様のように、症状が出てから2週間ほど様子を見てしまうケースは少なくありません。一度起動すれば普通に使えるため後回しにされがちですが、コンデンサの劣化は元に戻ることがなく、放置すれば起動できない日が増えていきます。最終的には日中でも入らなくなり、作業中の突然の電源断でデータやストレージを巻き込むこともあります。「朝だけ」の段階で対処すれば電源ユニット交換だけで済みますので、早めの点検をお勧めします。
性能に直接関わらないパーツですから、安く済ませる方も見えるとは思いますが、良い電源を使うことで安定した環境を構築できますので電源ユニットは出来るだけ良いものを搭載してください。
この記事を書いた人
パソコン修理業界に27年携わるベテラン修理スタッフ。Windows、起動しない・画面が映らない・データが消えたといったトラブルから、パーツ交換、データ復旧まで、これまで数多くの修理実績を積み重ねてきました。最新モデルから旧型機種まで幅広い知識を持ち、「お客様にわかりやすく、安心して修理を任せていただけること」を大切にしています。日々の修理現場での経験をもとに、よくある故障の原因や対処法、パソコンを長く使うためのコツなどをわかりやすく発信しています。ちょっとした疑問やお困りごとも、お気軽にご相談ください。詳しいプロフィールはこちら(修理歴27年・実績7,981件)